2017.09.21その他

突撃、監督の現場! 「映画の人事」について聞いてみた

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社員の適材適所を見ながら、また社内の状況をかんがみながら、効果的な人事を常に考えなくてはならない人事担当者。さまざまな社内調整を経て配属を決めても、当の社員が実力を発揮できなかったり、配属先で人間関係の問題が生じたりと頭痛の種は尽きない。

社員の成長と組織としての結果をともに獲得できるような人員配置をするためには、どのように配属計画を考えるべきなのだろうか。そのヒントを得ようと、今回は、映画業界に目を向けてみた。

映画業界は、プロデューサーや映画監督を筆頭に座組と呼ばれる撮影チームを組むのが基本的なやり方だ。プロデューサーや監督は、技術面・人格面で信頼できる人物を座組に加え、自らの理想とする作品作りを進めていく。特に監督にとって、座組のメンバー選定は思い通りの撮影を行うための需要なファクターでもある。

そこで、監督という立場にある人は、どのような人選で座組を組んでいくのか。第28回東京国際映画祭「日本映画スプラッシュ」部門で大きな話題を呼んだ『スプリング、ハズ、カム』(主演:柳家喬太郎)でメガホンをとった吉野竜平監督に、座組の人事を成功させるコツについて話を聞いた。

「スタッフの配置で驚いた例が、ある女性の助監督への役割分担についてでした。映画の助監督は雑用から交渉事まで幅広くこなさなくてはいけません。その女性助監督は、まだ現場経験が浅く、怖いもの知らずでした。周囲に気が遣えないタイプとして見られることもありました(笑)でも、この気遣いのできなさが、意外なところで役に立った。ロケ地探しをしている段階になって、本来ならば4~5時間かかってもおかしくない候補地決めを1~2時間で終わらせてしまったのです。候補地の交渉は難航するケースも少なくないですが、それをあっさり、しかも撮影条件においてもこの上ないポイントを押さえてきた。要するに、気を遣わない性格なので、多少交渉相手の反応が鈍くても、グイグイと突っ込んでいけるんですね。もちろん助けてあげたくなるような人柄も手伝ってのことです。営業上手といいますか。これはまさに弱点を強みに変えることが成功した事例でした」

気が遣えないというとネガティブに見えるが、気を遣っていては話が進まない環境においては、その弱点はストロングポイントになる。もうひとつ吉野監督が例に挙げてくれたのが、イメージの共有ができる人についてだ。似たようなイメージを想像できる人は、共通言語を持っているとも言える。

「例えば、あるシーンを撮影しようとするとき、どれだけ言葉を重ねても伝わらない人もいれば、一言二言であっさり、しかも正確に伝わってしまう人がいます。映画の現場に特化していえば、今まで映画の勉強をするときに、似たような映画を見てきた人のほうが共通のイメージを持ちやすいんですよ。『あの映画の、あのシーンのような雰囲気にしたい』と言えば、すべてをわかってもらえる。でもどちらかがその映画を見ていなければ、説明が大変ですよね。そういう意味では、似たような経験をしてきたという『くくり』をチームの中に入れる考えもありかなと思っています」

企業組織を考える際、チームや部署としてのバランスをとるために、さまざまな特性や経歴を持った人を集めた多様性重視の構造を想像しがちになる。しかし、イメージや価値観が近い人たちを集中させるという考え方も、あながちナシではなさそうだ。デメリットもあるだろうが、より思考スピードや作業効率をアップするような施策を優先するならばいいアイデアかもしれない。

弱点を強みに変えられるラテラルシンキングでの配置、イメージを共有させやすい価値観や経験でのくくりを使った配置。他業種のこうしたアイデア、ぜひ自社人事の参考にしてはどうだろうか。

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人事評価ナビ編集部

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