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【セミナーレポート 5月25日(火)実施 第2回】戦略的360度フィードバック実現の条件 ~米国の最新のハンドブックから学ぶ

【CBASE U 公開講座セミナーレポート】
半蔵門オフィス×株式会社シーベース共催
人事担当者が押さえるべき
戦略的360度フィードバック実現の条件
~360度の「人材開発」への活用はどう進化しているか

今回は5月25日実施の第2回「360度の「人材開発」への活用はどう進化しているか」のセミナーレポートをお届けいたします。

半蔵門オフィス代表 南雲道朋氏と、株式会社シーベース 代表取締役 深井幹雄氏による公開講座「人事担当者が押さえるべき戦略的360度フィードバック実現の条件」第2回では、「360度の『人材開発』への活用はどう進化しているか」についてディスカッションが行われました。今回の5回シリーズの講座では、米国の最新のハンドブック『Handbook of strategic 360 Feedback』(2019年版)をベースに、その内容の紹介および議論が行われています。


トピック1 360度が「開発」につながるメカニズムの深耕

始めに、360度における「開発=育成」における、個人が変化するプロセスのモデルについて語られました。これは360度において個人がどのように変化するかを、①~⑫のステップで示したものです。

個人が変化するプロセスのモデル(3Eモデル)

1.蒙を啓く(気づき)Enlighten
①正確な洞察 
②自分を特徴づける強みの特定 
③理想の自分と現実との対比

2.勇気づける Encourage
④動機づける
⑤できると思わせる:自己効力感
⑥スキルを構築する
⑦ナッジ(リマインダー)

3.できるようにする Enable
⑧実現の意思
⑨訓練(練習)計画
⑩周囲の(ソーシャルな)サポート
⑪後戻りの防止
⑫目標達成の評価

各々のプロセスについて、さまざまな研究が行われています。南雲氏はその中の興味深い研究として、「ポジティブ/ネガティブフィードバックの生理的影響」を紹介しました。複数の研究の中で紹介された内容としては「褒めるといったポジティブなコメントが、ネガティブなコメントよりも多いと、パフォーマンスは向上。逆にネガティブなコメントが多いとパフォーマンスは低下」「組織内においてポジティブな感情がネガティブな感情の2倍~5倍表現されているときに、人やグループのパフォーマンスは最も向上する」などがありました。

ここで南雲氏はお勧めするポイントとして、「フィードバックは主観事実であると強調しておくことが大事」「自身の強みと弱みの対比を意識することが重要」「褒めてから期待を伝えるフォーマットに統一すべき」「フィードバック後は、まずはともあれ周囲への気持ちの開示を行うべき」と述べています。

深井氏は「日本の管理職の特徴として、下からの意見を受け止めることに慣れていない前提がある。そのため、360度では本人がダメ出しされると不安に思うケースが多い。もっと強みにフォーカスすべきであり、改善点は期待と受け止めてもらうようにすべき」と述べました。

トピック2 360度以外の手法との組み合わせ

ハンドブックでは、リーダーシップ行動を360度で測定し、それとパーソナリティ(性格)アセスメントと組み合わせることが議論されています。南雲氏は「360度で測定できるのは氷山モデルでいえば海より上の見えている部分。それと、パーソナリティアセスメントで把握される、水面下の性格や価値観といったものを照らし合わせることで見えるものがある」と解説。この二つを縦軸と横軸に取れば、本人の「強み」「まだ発揮されていないポテンシャル」「意図的に獲得された能力」「パフォーマンスリスク」といった四つの領域を知ることができます。

そして、これら二軸によるフィードバックは、自己理解を深めることに役立ちます。例えば、360度で自己評価と他者評価で差がある項目があれば、そうした差異が生まれた背景としてどんな性格や価値観が影響したかを探ることができ、行動変容に活かすことができます。

ここで南雲氏はお勧めするポイントとして、「パーソナリティアセスメントでは、身についている尺度のものを使ったほうがよい」「価値観について共通言語を持つ必要がある。キャリア・アンカーを使った振り返りはお勧め」と述べています。

深井氏は、「適性テストと照らし合わせる方法もあるが、自身のライフラインでの行動の振り返りで見えるものもある。例えば、課題となる行動はいつから繰り返しているか。そのときの行動パターンは。そのパターンが生まれる状況や関係性は。それらを容認する自分の思考の癖とは何か、と深堀していくと、自分の傾向が見えてくる」と述べています。

トピック3 人材開発から組織開発への拡大

360度はそもそも組織開発から始まったと言われています。ハンドブックでは、次のように、組織開発・変革のために360度フィードバックを用いるポイントが述べられています。

1.組織が今後あるべき姿に基づいてコンテンツを作成する

2.(組織モデルを用いて)組織のすべての要素を評価して優先課題を見極める

3.360度フィードバックと組織変革の他の施策とリンクさせる

4.最も効果的な層をターゲット層にするとともに、できるだけ多くの人を巻き込む

5.目に見える形で、経営陣がスポンサー/オーナーになる

6.目的と、達成に必要な労力やリソースを正しく伝え、予期や期待を裏切らない

ハンドブックではNASAの事例が紹介されています。NASAでは拠点(基地)間で連携して仕事を進める文化への転換を図るため、マネジャーは必ず360度フィードバックを経験し、組織運営の手法を学んでいます。NASAのあるべき組織の姿として、五つの分野(「計画と統制」「達成の促進」「相手の理解とサポート」「部下の評価」「インターフェイスの管理」)で具体的な項目がまとめられており、南雲氏からその翻訳内容が紹介されました。

ここで南雲氏は、組織開発が身につくシンプルな組織モデルとして、図を回転するとリーダーシップコンピテンシーの軸と重なることから、マッキンゼーの7Sを勧めています。また、どうすれば組織開発につながるのかという質問に対しては、「設問設計の意図とその伝達に尽きる」と述べました。

深井氏は360度における組織開発について、「360度を人材開発の観点だけで行い、組織の観点で見ていない例が多い。360度からは会社固有の強さ弱さや、組織の風通しのよさ悪さも見えてくる。360度から組織傾向を把握してほしい」と述べています。また、社員意識調査との掛け合わせから見える示唆もあると指摘。「例えば、成長実感を持つ人は待遇への不満が小さい。そのような人は普段上司とどんなやり取りをしているかと360度との掛け合わせを行うと、成長実感を持たせられる上司のモデル化ができる。そのような連携手法もある」と述べました。

半蔵門オフィス 代表
南雲 道朋
東京大学法学部卒、日系大手電気通信メーカーのソフトウェア開発企画部門に勤務後、外資系コンサルティング会社にて現場再生のコンサルティングに従事。
1998年以降、マーサージャパン、HRアドバンテージ、トランストラクチャなどにおいて人事・組織に関するコンサルティングや関連するウェブソリューション開発をリード。その経験の総まとめのために、2018年に半蔵門オフィスを設立。
最新の著書に、『データ主導の人材開発・組織開発マニュアル』(経営書院)(2021/3)がある。情報処理学会会員。

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