導入事例

AGC株式会社様

システム化が個人のスキル登録を推進
スキルマップを軸にしたコミュニティ活動が
新たな結束を生む

AGC株式会社

人事部 武信様、カーン様、宮崎様

  • スキルマップ
  • 人財配置
  • 部門横断
  • サードプレイス

スキルマップ実施の背景

CBASEでは御社のスキルマップのシステム化をお手伝いしています。始めにスキルマップとはどんなものなのかお聞かせいただけますか?

スキルマップとは、スキル体系に基づき個人の保有する技術や技能をカテゴリー別にまとめ、AGCグループのスキル保有状況を見える化したツールです。これにより人財の有効活用やコミュニケーションの促進を図っています。現在、社内に約40のスキルがあり、5万6100人の従業員のうち約8000名のホワイトカラー(総合職)相当が登録しています。2010年に導入し、2012年以降にAGCグループ会社にも展開しました。

ー始めた当時はどんな課題があったのでしょうか?

始めるきっかけになったのは人財探索です。新たに複雑な事業のチーム編成を行おうとした時に、社内のどこにどんなスキルを持った人がいるのかが人頼みでしかわからなかった経験が始まりでした。スキルの登録データがあればそれを基に人財の活用を検討できる可能性がある。そこで、グループ全体の技術、技能別の人財保有状況を見える化しようと考えました。各分野の専門家が全世界に何人いるのかを把握し、グループ全体で人財を活用し、それを基に事業目標を達成する。その状態をつくるために個々で登録してもらっています。

ースキルマップをどのように活用されていますか?

スキルマップは人財探索に加え、人財配置に活かされるケースもあります。例えば採用活動時にもスキルマップを参考にどこにどれだけの人員が必要かを検討しています。ただし、スキルマップだけでの配置や人財採用には限界があるので、他の人事情報や適性結果も含めて総合的に人財を見るようにしています。また、スキルマップに登録したスキル単位でコミュニティを形成し、コミュニケーションの促進にも活用しています。

CNA活動実施の背景

ースキル登録後にはスキル単位でCNAという社内でのコミュニティ活動を行われているということですが、具体的にどのような活動ですか?

CNA(Cross-divisional Network Activity)は部門横断で行うスキル単位のプロフェッショナルクラブで、部門や国を越えた人財交流および学び合いの場です。これまでも部分的な学びの場はありましたが、グループ全体を含めた取り組みはほぼありませんでした。これは業務時間内に行うことができるもので、ボトムアップ型の自主的な取り組みとなっています。CNA の活動は、知の探索と深化、グループ視点での問題解決、人財育成、技術・技能伝承、人脈形成と多方面で役立っています。
CNAはプロフェッショナルクラブであり、「自宅」「職場」とは異なる第3の居場所、サードプレイスといった役割を果たします。CNA は部門・国・地域を越えたAGCグループの文化となりつつあります。今後も個人が自発的に活動したいと思う場所であって、そこでの交流が知の創造につながるような場所にしていきたいと考えています。

ーCNAは第3の居場所、サードプレイスということでしたが、このコンセプトは最初からあったのでしょうか。

CNAを始めた当初はサードプレイスを意識していませんでしたが、2018年にサードプレイスの専門家である法政大学大学院の石山恒貴先生から「CNAは職場の中ではあるが、サードプレイスである」と言っていただけました。その後も、社内のイベントでご講演いただいたり、アドバイスをいただいたりしています。

ーCNAでは具体的にどんな活動を行っていますか?

活動内容は自由に企画してよいため、実に多岐にわたる活動が行われています。具体的には次のようなものがあります。

・技術交流会、討論会
……技術深化や人財育成を目的として開催。多くの部門やグループ会社をまたがる交流活動へ発展している。

・社外見学会
……他社の工場や研究所など訪問し見学。先方の類似したスキルを持つ方々と意見交換することもある。

・画像コンテスト
……顕微鏡写真のうち画像の美しさ・面白さといった芸術的に価値の高いものを募集する画像コンテストを年1回開催し、優秀作品を表彰。海外のグループ会社からも応募が寄せられる。

・問題解決チーム活動
……あるスキル内で各部門の日常的な課題からテーマを選定し、部門横断的なメンバーが課題解決に取り組む活動。異なる視点やアイデア、解決へのアプローチを学び、新しい人脈形成の場にもなっている。

・チャレンジものづくり
……普段の業務では制作できないような遊び心をもったものづくり企画。多部門のメンバーでチーム編成され、過去ガラスのバレーボールなどを制作。近年では社外パートナーと協働でものづくりに挑戦している。

・社内講演会
……従業員が講師役を務め、講演会やディスカッションを行う場。一例として資材と営業の普段は逆の立場にある部署が双方の視点を共同で学び合う場を開催。

・研修会
……社内外のスキルに関連する事例を学ぶ場。ケーススタディ形式で総務・労務トラブル対応研修会をコラボレーションで開催した事例もある。

このほかに、人と人、技術と技術をつなぐ場の提供を目的として、スキルマップ登録者が自由参加できるCNAオープン講座を2015年にスタートさせました。外部講師などを呼び、学べるもので、2020年は21回開催し、のべ約900人が参加しています。また、海外交流も活発になりつつあり、海外グループ会社のメンバーとの交流会を開催しています。2019年はベルギー、中国、タイなど海外の拠点で勉強会を行っています。現在はオンラインでの交流が主流となっていて、複数の国・地域から同じスキルをもった仲間が、ともに学び合っています。

CNA活動における工夫および効果

ー部門横断の活動は盛り上げることがなかなか難しいものですが、そこで工夫されたことはありますか?

2015年ごろに活動がマンネリ化し、社内でも行き詰まりを感じるという声が聞かれたことがありました。しかし、そこで当時の経営陣が「明確な成果を求めないこと」を宣言し、CNA を再定義してより自由な活動に舵を切ったことで息を吹き返しました。スキルマップ登録は個人で行いますが、登録するだけでなく、実際のCNA活動に参加してもらえるよう、各スキルにどの程度登録者数がいるかなど結果をメールマガジンでお知らせしたり、事務局主催でスキルに関係なく誰でも参加可能できるお昼のイベントを開催したり、積極的に活性化施策を行い、活動をバックアップしています。また、CNAの活動が停滞しているグループには事務局も相談に乗り、活動事例の紹介や企画内容を考えるなどのサポートをしています。

ーCNAによってどんな効果が出ていますか。また、社内に何か変化はありましたか?

参加者の声を見ると、「人脈形成に役立っている」「気軽に参加できる場」「専門家、他社や他部門の取り組みを聞くことで刺激を受けている」「高いスキルをもつメンバーに業務の課題を相談できる貴重な場」「最先端の技術や他分野の技術に触れ、良い刺激となっている。CNA はAGCグループの進むべき方向性についても思いを巡らす貴重な機会」など、個々で実に多様な効果が得られています。
中でも一番の効果といえるのは人財交流が進んだことです。企業規模が大きくなると同じ部門でも互いを知ることが難しくなります。しかし、経営陣は「一人でできないことを成功させるには、自分の枠を越えて頼りになる仲間を見つけることが大切」と常々、言っています。CNA に参加し話をすることで、「後日、仕事の相談ができた」「担当外のことでもCNA で会った人に話をつなぐことができた」など具体的な仕事の役に立ったという話が聞かれています。自らの視野を広げるためにも、多様なバックグラウンドやスキルを持った仲間と話し、その力を活用することは有効だと思います

システム化の推進による効能

ーCBASEではスキルマップのシステム化を支援させていただきました。システム化にはどのような効能がありましたか?

システム化に踏み切ったことで、個人が直接入力できるようになり、データ収集がスムーズに行えるようになりました。これまでは世界中からグループ会社単位でExcelデータが届く形でしたので、データ収集にかなりの工数がかかっていました。システム化により、登録案内のメール送付から、結果の通知まで一貫してシステムでできるようになり、人事部では大変助かっています。また、システム導入前にはデータの間違いなどもありましたが、システムではエラーとなるため、それもなくなりました。登録の達成率などもすぐに出せますし、大幅な作業の効率化ができています。

ー御社はタレントマネジメントも導入されていますが、使い分けはどのようにしていますか?

タレントマネジメントは取り組み始めたところです。将来的にはホワイトカラー(総合職)相当以上をターゲットに、スキルマップと統合していきたいと考えています。

これから人事施策でのシステム化を検討されている方に一言

ー「社内の風通しをよくしたい」「従業員が何を考えているかを把握したい」と考えている企業はたくさんあると思います。施策を進めるうえで何かアドバイスはありますか?

私たちもCNA活動に行き詰まり、2015年に「自分たちでやりたいことをやっていいんだ」と宣言したことで転換点が生まれたように、経営陣が現状の問題を真摯に受け止め、意思をもって誠実に取り組むことが重要であることを経験しました。弊社ではよく「One Team」と言っていますが、問題があれば皆が責任感をもって取り組み、改善策を探っていくことが大事です。従業員がやりたいことに責任を持って取り組めるように、企業はその環境を整備することが重要ではないでしょうか。

ーこうしたCNA活動での従業員の主体性はもともとあったものでしょうか。それとも何かの働きかけがあったのですか?

もともと主体性を持っている人もいますが、例えば、入社3年目クラスの若手の場合、年次が上のメンバーが失敗を認め、自発性を引き出すようにした結果、主体性をもって活動するようになった例があります。CNA活動には、自由さと挑戦を促す風土があります。そうしたことが「自分たちもやっていいんだな」という気付きにつながっていると感じます。

ーCNA活動が「自由にリスクなく失敗できる場」になっているということですか?

仕事では「失敗してはいけない、成果を出さないといけない」とシビアに考えてしまう人も、CNA活動では新しいことに挑戦しようという意欲が生まれるメンバーが多いように思います。CEOはじめ経営陣が「サードプレイスであるCNAを活用して自分が成長することが、結果として会社の成長にもつながる」というメッセージを伝え、CNAのコミュニティリーダーもそうした活動を実践しています。それに加え、CNAでは人脈形成に役立つとか、専門家から刺激を受けられる、他の人に相談できる、技術の深堀りができるといった多くのメリットが感じられることで、参加者の自主性がより磨かれていると感じます。従業員が主体となる活動では、やはりそこに参加したいと思えるものがあることが大事なのではないでしょうか。

AGC株式会社
事業内容:建築用板ガラス、自動車用ガラス、ディスプレイガラス、電子部材、クロールアルカリ・ウレタン、フッ素化学・スペシャリティ、ライフサイエンス、セラミックスなどの製造・販売
設立:1907年9月
従業員数:約5万6100名(2020年12月期 )

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