360度評価の失敗事例4例から成功する方法を解説
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「360度評価を導入してみたいけれど、どんなところで他の会社は失敗しているのだろうか」
「360度評価を導入する前に、うちの会社に合うかどうかを判断したい」
360度評価を導入するかどうかを考えたときに、どんな事例があったのかが分からないと不安になります。
実際に運用した失敗例を知り、導入をしっかりと検討すれば、失敗する可能性は低くなります。
今回は、360度評価を導入する上で起こりうる失敗事例の紹介と、導入に成功する方法について解説させていただきます。
360度評価を失敗させないために
360度評価を行う目的をハッキリさせないと失敗する可能性があります。
何のために360度評価を行い、どんな効果を狙って評価を行うのかを明確にしていないと、評価を運用している最中に評価軸がブレてしまいます。
また、実際に評価制度を運用する現場の社員からの信頼も得られないといえます。
必ず360度評価を行う目的は何かを明確にするようにしましょう。
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360度評価の失敗事例4選
「実際に360度評価を導入して失敗するのはどんなケースなのかな」と気になっていませんか。
現場への周知徹底不足やフォロー体制が甘いと失敗する可能性があります。
360度評価を導入して失敗するのは、以下の4パターンであるといえます。
・費用対効果が出せない
・既存の評価と混線してしまう
・現場に丸投げして負荷をかけてしまう
・導入意図を現場に説明していない
それぞれについて解説します。
費用対効果が出せない
経営陣に対して、導入前に費用対効果は出すことが難しいと伝えて、理解を得るようにしましょう。
評価制度を導入したものの、評価制度の効果が出るまでには1年間以上の長い時間がかかることもあります。
360度評価を導入するためにかかった費用を可視化して、費用対効果を出すことは短期間では難しいです。
既存の評価と混線してしまう
これまで自社で導入している既存の評価と360度評価が混線することがあり得ます。
そのため、導入前に出来るだけ導線を分けるようにしましょう。
具体的には、給与や賞与に関わる評価とは切り離すようにすることがおすすめです。
これまでの評価の目的である、給与決定が目的ではなく、人材育成を大目的にしておけば、うまく切り分けできる可能性があります。
現場に丸投げして負荷をかけてしまう
現場に丸投げして負荷をかけてしまうことは避けるようにしましょう。
現場に360度評価のフォーマットや用紙を配ってやってもらうだけでは、「また人事は現場に丸投げか」と反感を買う恐れがあります。
相談窓口を設置するなどして、気軽に相談できる体制を作るなどして、最後まで現場をフォローするようにしましょう。
現場からの細かい質問に答えられる体制を構築することも大切です。
導入意図を現場に説明していない
導入意図を現場に説明することは必ず必要な工程といえます。
理由として、いきなり評価制度を変える、導入するといっても現場は混乱する可能性があるためです。
導入意図として評価をベースに給与を変えることは目的ではなく、人材育成が目的であるなど、現場を安心させて協力を得られる体制を作るようにする必要があります。
「もしも360度評価制度の導入が失敗したらどうなってしまうのだろうか」と気になりませんか。
次は、360度評価制度の導入が失敗すると会社で起こりうることについて解説します。
「そもそも360度評価の趣旨ってどんなところにあったのかな」と気になりませんか。次は、360度評価のメリットとデメリットについて解説します。
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360度評価を失敗させずに活用するメリットとデメリット
360度評価とは、多面的な評価を行う人事評価制度のことを指します。
360度評価においては上司が部下を一方的に評価するのではなく、部下も上司を同じように評価をします。
上司と部下が双方を評価しあう評価制度になっているため一方的で評価に納得できないという事態を避けることができます。
また、360度評価をしっかりと行うことによって評価に透明性が出るので社員が努力しやすい環境を提供することができます。
但し、360度評価にはメリットがある一方でデメリットも存在します。
360度評価のメリットとデメリットについてはぜひ、以下の記事を参考にしてみてください。
参考:360度評価とは?多面評価を採用するメリットとデメリット
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360度評価導入が失敗すると会社で起こりうること
360度評価導入が失敗すると、会社では以下のことが起こる可能性があります。
・上司が部下に極端に媚びるなど、上司らしくない態度をとって評価を上げようとする
・360度評価によって率直すぎる意見が出るとショックを受ける社員が出てしまう
・現場と人事担当者の間での温度差が大きく、スタート時点で現場から反発が出てしまう
それぞれについて解説します。
上司が部下に極端に媚びるなど、上司らしくない態度をとって評価を上げようとする
360度評価導入が失敗すると、上司が部下に極端に媚びるなど、上司らしくない態度をとって評価を上げようとする可能性があります。
上司は部下に評価をつけられることに慣れていないということや、部下から低い評価をつけられたくないと考えてしまうためです。
本来は管理職が行うべき業務上絶対に必要な「指導」や「注意・叱責」など管理職が果たすべき役割を放棄してしまうようになれば本末転倒となる可能性があります。
管理職があまりに優しくなりすぎるのではなく「厳しく注意したのは業務上、こういった点に問題が出るとまずいと考えた為だ」という風にフィードバック時にしっかりと部下に説明できる機会を持つことが重要です。
また、評価制度を管掌する人事部門なども最初の評価段階では「まずはいつも通り仕事をするように心がけてほしい」などの声掛けを行うようにしましょう。
最初から低い評価が付くことを恐れて管理職が積極的に仕事をしなくなってしまうという事態を防ぐようにしましょう。
360度評価は運営上、管理職が成功の可否を握っています。
部下を評価するための方法を下記記事で見てみましょう。
参考:部下が上司を評価する!?360度評価の項目・サンプル
360度評価によって率直すぎる意見が出るとショックを受ける社員が出てしまう
360度評価の導入に失敗すると、360度評価によって率直すぎる意見が出るとショックを受ける社員が出てしまう可能性があります。
360度評価においては上司部下ともに忌憚のない意見・評価が出てしまう可能性があるためです。
既存の人事評価制度においては評価を行う際には定型的なフォーマットがあり、そこに管理職が意見を淡々と書き込んで人事部に提出して、意見交換をして修正するという作業となっているところもありますが、360度評価では上司と部下が意見交換的に評価を書きこんでしまう可能性があります。
仮に人間関係の良好な部署で上司と部下の相性が良い部署であれば極端な評価を書くことはしない可能性もありますが、人間関係があまり良くなく上司と部下の相性が悪い部署ではあまり良い評価をお互いに付けず評価に慣れるまではぎこちない状態が続く可能性があります。
上司と部下がショックを受けないためにも評価制度導入を管掌する人事部は360度評価制度の導入時に「ある程度、文章の書き方などを指導する」といったこともするようにしましょう。
特に360度評価の質問に答えてプラスαで文章で記載する欄がある場合には相手の配慮として避けるべき言葉や表現などを伝えるようにしておきましょう。「360度評価で適切なコメントをしたいけれどなかなか文章が思いつかない」と悩んでいる方も多いと思います。
しかし、適切な書き方を学ばないと360度評価でショックを受ける社員が出ることもあります。
以下の記事で正しい書き方を見てみましょう。
参考:360度評価が返ってきた!そのときあなたはどう読み解く?
現場と人事担当者の間での温度差が大きく、スタート時点で現場から反発が出てしまう
360度評価の導入に失敗すると、現場と人事担当者の間で温度差が大きく、スタート時点で現場から反発が出てしまう可能性があります。
まだまだ人事評価などの仕事に関して「評価業務は人事部の仕事ではないのか。現場に押し付けるな。本来業務の邪魔をするな」という考え方を持っている社員が存在するためです。
本来は会社全体の評価の透明性をアップさせて、より社員が業務に打ち込み成長・育成できるように制度を導入したはずですが、最初の段階では現場からは「余計な業務が増えた」と感じられてしまう可能性が存在します。
現場からの反発を防ぐために、出来る限り360度評価導入にあたっての指針や経営陣・人事部の想いを伝えるようにしましょう。
最初は戸惑う可能性もありますが、最終的にはもっと仕事がしやすくなるというメリットも併せて伝えるようにしましょう。
360度評価を失敗させないために出来る3つの対策
「失敗事例は分かったけれど、どうすればうまく360度評価を導入できるのだろうか」と悩んでいませんか。
導入をするにあたっては、評価制度の性質や、会社の将来に対して必要な投資であるということを伝える必要性があります。
具体的には、以下の3つです。
・短期間での成果は出ないことを経営陣・現場へ周知徹底する
・人材育成のために必要な投資であると経営陣・現場へ理解を得る
・評価基準を複数持つことにならないように管理する
それぞれについて解説します。
→360度評価のメリット・デメリットを理解して360度評価運用を成功に導こう
「失敗しない!360度評価(多面評価)のメリット・デメリット」
短期間での成果は出ないことを経営陣・現場へ周知徹底する
360度評価では、短期間での成果は出ないことを経営陣・現場へ周知徹底するようにしましょう。
評価制度そのものが長い年月がかかるものであり、良い結果であれ悪い結果であれ、3年間程度のスパンで成果が出ることがあります。
そのため、短期的な視野で評価制度の成果を見るのではなく、3年間程度の長期の時間がかかることを経営陣や現場には説明するようにしましょう。
人材育成のために必要な投資であると経営陣・現場へ理解を得る
360度評価は、会社の未来のために必要な投資であると経営陣・現場に伝えるようにしましょう。
360度評価にかかった費用に関しては、人材育成のために必要な投資であると経営陣・現場から理解を得ることが大切です。
評価制度を導入することによって、人材育成につながるとすれば、経営陣・現場から理解を得やすいといえます。
評価基準を複数持つことにならないように管理する
360度評価を導入するにあたっては、評価基準を複数持つことにならないように管理するようにしましょう。
評価制度に関しては、導線を分けて導入することが大切です。
具体的には、人材育成のための評価制度導入のため、給与や昇格など、直接、人事考課につながる評価項目とは連結しないという方法があります。
また、あくまでも評価制度を通して管理職と一般社員の交流を行うことが目的であるとして、評価をフルオープンして話し合いの席を管理職と一般社員で話し合ってもらうことも効果的であるといえます。
「360度評価導入を成功させるためにはどのようにすればよいのだろうか」と気になりませんか。
次は、360度評価導入を成功させるために重要なポイントについて解説します。
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360度評価導入を失敗させないために押さえておきたい大切なポイント5選
360度評価導入を成功させるために押さえておきたい大切なポイントとして、以下の5つがあります。
・振り返り面談を行う
・PDCAで評価を回さない。適宜面談する
・ガイドラインは明確にする
・できる限りスケジュールを設定し守る
・設問数や設問は現場の負担にならないようにする
それぞれについて解説します。
振り返り面談を行う
360度評価面談を行うためには、振り返り面談を行うようにしましょう。
理由として、振り返りの場がなければ改善が促されずただ制度を導入しただけで終わってしまう可能性があるためです。
必ず振り返りの場を持ち、面談を行うようにしましょう。
PDCAで評価を回さない。適宜面談する
PDCAで評価を回すことは避けるようにしましょう。
ルーチンワーク化してしまうとあまり評価制度が機能しなくなる可能性があるためです。
特に「なんとなく一か月に一回くらい面談しておけばよいか」となってしまうと形骸化してしまい評価もあまり熱が入らなくなることがあり得ます。
PDCAで回すのではなく部下が業務などに不安や不満を抱えていたら細かく面談するなど臨機応変に対応することが管理職には求められます。
ガイドラインは明確にする
360度評価制度を導入するにあたってはガイドラインを明確にするようにしましょう。
ガイドラインがないと「どう評価すればいいのか全く分からない」という状態になる可能性があるためです。
ガイドラインを設定したのちに説明会や個別の質問を受け付ける担当者を用意し、評価者が納得できるまで説明をするようにしましょう。
できる限りスケジュールを設定し守る
360度評価を成功させるためには、できる限りスケジュールを設定し守るようにすることが大切です。
給与や昇格降格などに直接結びつく人事考課と異なり、人事評価は評価基準日が曖昧になる可能性があるためです。
必ずスケジュールを設定し、定期的な実施をするようにしましょう。
設問数や設問は現場の負担にならないようにする
360度評価の導入を成功させるためには、設問数や設問内容が現場の負担にならないようにしましょう。
評価を実施するために時間がかかると現場が意欲をなくす可能性があるためです。
まずは気軽にできる質問数・内容から評価制度をスタートさせるようにしましょう。
360度評価で失敗しないために重要な3つのこと
「360度評価で失敗しないためにはどのようなことをする必要性があるのだろうか」と気になりませんか。
360度評価で失敗を避けて成功をするためには、導入しても気を抜かず風化を防ぐことが重要です。
具体的には、以下の3つが重要です。
・しっかりとフィードバックを行う
・これからの時代に対応することも視野に入れる
・外国人の従業員に対する配慮も重要
それぞれについて解説します。
しっかりとフィードバックを行う
360度評価を成功に導くためには、しっかりとフィードバックを行うことが重要です。
360度評価を導入したとしても、フィードバックを行う体制がなければなかなか定着しないためです。
しっかりとフィードバックを行う体制を構築し、社員がフィードバックに前向きなれば効果的です。
ただ導入するだけではなく確実に効果を出すためにはフィードバックを行うことが大切です。
良いフィードバックを行うためのコメントの例文については下記の記事を参考にしてみてください。
参考:360度評価での良いコメント例とは?人事評価で上司・部下ともに納得するコメント例文集
これからの時代に対応することも視野に入れる
360度評価を導入する場合にはこれからの時代に対応することも視野に入れることが大切です。
昨今では働きやすい職場環境が重視されており、ハラスメント対策の重要性が叫ばれています。
360度評価では上司が部下を評価し、部下が上司を評価するという特性からパワハラなどのハラスメントに対応できる可能性があります。
これまでの上司から部下への一方的な評価体制の元では上司だけの意見で評価が決定されることもありましたが、360度評価では上司の指導方法などについて部下が意見をすることも可能です。
評価表をチェックすることで未然にハラスメント情報をつかみ人事部で対処することも可能です。
360度評価でハラスメント対策を考えている方はぜひ、以下の記事を参考にしてみてください。
参考:ハラスメント対策に360度評価を導入しよう!
外国人の従業員に対する配慮も重要
職場に外国人の従業員がいるという方もいると思います。
会社によって言語をどうするかという基準はあると思いますが、出来るだけ英語など母国語に近い言語でフィードバックしたいというケースもあります。
従業員に外国人の方がいて設問に悩んでいる方はぜひ、以下の記事を参考にしてみてください。
参考:360度評価にも使える!人事評価の英語例文・英語表現
まとめ
今回は360度評価の失敗について紹介しました。
特に注意して頂きたい点は、本文の中で紹介した360度評価を導入するにあたってガイドラインを作ることや制度趣旨を現場に徹底して説明することです。
360度評価導入を失敗ではなく成功させるためには、まずは現場からの理解を得ることが大切です。
現場から理解を得ることができればスムーズに制度を浸透させることが可能です。
(2021.9.13 追記)
360度評価のQ&A
Q1.360度評価を浸透させるにはどのような方法がありますか?
360度評価を浸透させるには社員への呼びかけが重要です。なぜなら、評価制度などはフィードバック面談時や、査定の時期以外は注目されにくい性質を持っているためです。例えば営業職がノルマなどを達成するためには常にノルマ表などが掲示されていますが、人事評価に関しては個人ごとの目標のため掲示もされません。意識して仕事をしてもらうためには常に360度評価でお互いが評価し合っているという緊張感を持ってもらう必要性があります。
Q2.360度評価でどのようなリスクを軽減できますか?
360度評価を導入することによって、ハラスメントなどの法的なリスクや、評価制度の不透明感から起こるモチベーションダウンなどの経営リスクを減らすことができます。なぜなら、360度評価は上司と部下が相互に評価し合う性質を持っているためです。上司と部下がお互いに評価し合えば一方的なハラスメントや評価への不信感などを取り除くことが可能となります。離職率低下などにも寄与するため、様々なリスクへ備えることが可能となります。
Q3.360度評価を導入すると運用に大きな負担がかかりませんか?
360度評価を導入すると一時的に大きな負担がかかります。なぜなら、これまでの評価制度とは異なりフィードバックがメインになるなど、新しい評価手法を会社として取り入れることになるためです。ただし、360度評価に限らず評価手法を変えるときはどんな制度を導入しても一時的に大きな負担がかかることは避けられません。一時的には負担がかかりますが、フィードバック手法などが会社内で確率すれば自然と面談を評価時にすることが当たり前になり負担を感じなくなります。
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