2019.09.10モチベーション・組織活性化 , 人材育成・能力開発

どうして人材育成は必要なのか?企業が意識したい目的とは?

人材育成の必要性
人事担当者の大事な仕事のひとつが人材育成です。しかし、企業にとって、なぜ人材育成がそれほど重要なのでしょうか。人材育成にはさまざまな目的がありますが、誰に対して行う育成か、また企業の課題によっても目的が変わります。この記事では、企業が人材育成を行う目的や人材育成の目標達成のために必要な考え方について解説します。

そもそも「人材育成」って?

人材育成とは、社員を自社の事業の発展に貢献できる人材として育てることです。多くの場合、企業における人材育成は中長期的な視点で捉えられています。単に目の前の実務をこなせる人材を増やしたいのではなく、主体性をもって計画的に行動できる人材を育てることを主眼に置いているケースが多いでしょう。人材育成は社員と企業の双方にとって有益です。まず、企業にとっては、人材を行うことで組織全体のパフォーマンスを上げられるという大きなメリットがあります。

社員としても、自己のスキルや能力が上がることで課題解決能力が向上し、仕事にやりがいを感じられるようになるでしょう。加えて、企業が自分のことを考えて成長の機会を与えてくれているのだと感じられることで、企業への信頼感も増します。結果として、社員の離職を防止する効果も期待できるというわけです。
人材育成とは

企業が人材育成をおこなう目的

まずは、企業が人材育成を行う目的について解説します。最終的には、人材育成は企業の発展のために行われるものです。ただし、育成を行う社員のレベルや外部環境の変化に応じて設定目標が変わってきます。
人材育成とは

新入社員の場合

新卒採用をしている企業では、入社後に新入社員を対象とした研修が行われます。たとえば、各部署に配属される前に集団の座学などを通じて、ビジネスマナーや会社の概要といった基本的な知識を身に付けさせるといったやり方が主です。従来では、新卒の育成については、前年までのやり方を踏襲することが多く、人材育成の中では優先度がさほど高くなかったといえます。企業の採用基準を満たす新卒を多く採用することができ、新人自体のポテンシャルも高かったためです。

しかし、少子高齢化によって労働力の確保が難しくなっていることから、新卒採用では売り手市場が続いており、企業間における新入社員の獲得競争が激化しています。そのため、予定していた人数を採用できなかったり、本来の採用基準を満たさない人材にも内定を出したりするケースも少なくありません。しかし、そんな状況でも企業が競争優位性を保ち、将来的に発展していくためには、限られた人材を企業内で即戦力に育成していくことが必要不可欠となっています。自社に入社した新入社員の特性やレベルを見極めたうえで、適切な育成方法を考える必要があります。

若手・中堅の場合

入社から数年が経過した若手や中堅に対する人材育成がおろそかになっている企業も多くありますが、実はこういった若手や中堅に対する育成は非常に重要です。若手や中堅は、新人よりもレベルの高い実務を担い、リーダーを支える立場でもあり、まさに業務の中枢を担う重要な存在だといえます。そのため、若手や中堅と呼ばれる年齢からその立場を認識させ、企業が期待する役割を果たすためのスキルを身に付けさせる必要があります。さらに、若手や中堅はもっとも転職が多い世代です。自分は将来を嘱望されている立場なのだと早い段階から認識しておいてもらうことで、企業への定着率を高める効果も期待できます。

リーダー候補の場合

優秀な若手を探し、将来のリーダーとして意識して育てていくことは、企業の経営にも直結する重要な課題です。日本では、少子高齢化や労働力低下の問題など、企業を取り巻く外部環境が日々大きく変化しています。経営者としては、自社が属する業界動向やこの先の市場規模などを踏まえて、常に自社の将来像を見据えなければならなくなっています。ビジネスや経営の変化のスピードも加速しているため、それにキャッチアップしていくことも必要です。リーダー候補の育成については、早い段階から優秀な人材を見抜くことが重要です。そうすることで、将来有望な選抜者を対象に将来的なキャリアデザインに必要な業務経験を計画的に積ませることができます。

中間管理職の場合

中間管理職の育成については、それまでの役職とはまったく異なる視点が必要です。なぜならば、マネジメントを担う中間管理職には、リーダーとしてチームやグループの指揮をとり、成果を出すための方法を理解させる必要があるためです。今までのように自分が高いアウトプットを出せば良いのではなく、リーダーとしてチームのアウトプットを最大化するという中間管理職の役割を認識させなくてはなりません。仕事のやり方について部下にアドバイスしたり、育成したりするのも中間管理職の大事な仕事です。

過去には、不況などの影響により、人材育成の費用を削減しなければならない時代もありました。そのため、その頃に会社の中核を担っていた社員の中には、中間管理職として求められるスキルが不足している人も少なからず存在していました。中間管理職はチームやグループのリーダーであり、部下のモチベーションにも影響を与えるポジションであるため、しっかりとした人材育成が必要です。

グローバル人材の場合

これからは、海外でも活躍できるグローバル人材の育成も主眼に入れていく必要があります。人口減少により国内市場は年々縮小傾向にあり、企業にとって国内以外に新たなビジネスポテンシャルを見つけていくことは重要課題です。実際に、業種に限らず多くの企業がグローバルな視野で事業を展開することが増えています。しかし、現実的には事業のグローバル化に人材確保が追いついていないケースも散見されます。グローバル人材には、語学力だけでなく、多様な価値観を受け入れる柔軟性、新しいことに挑戦するチャレンジング精神なども必要です。たとえば、学生時代から海外を経験している帰国子女などを受け入れていくことも企業内にグローバル人材を増やすための方法のひとつです。

人材育成の前におこなったほうがいいこと

人材育成の効果を高めるためには、前もって必要な準備があります。ここからは、人材育成を行ううえで必要な考え方について説明します。

現状を把握する

まず、人材育成の前には、「現状を把握する」ことが大事です。人材育成の最終ゴールは自社の発展ですが、そのためには何が必要かという視点が必要です。具体的には、自社が抱えている問題を知り、どのような育成が行われればその問題が解消されるかというアプローチが大事になります。自社の問題を知るためには、仕事を行っている各部署の声に耳を傾けることです。どの部署で誰がどのような仕事をしているのかがわからなければ、それをヒアリングすることから始め、それぞれの部署でどのような課題を抱えているのかを把握しましょう。幹部社員だけでなく、一般社員にもヒアリングを行うことで、より多面的な視点から課題をつかむことができます。

目標を明確にする

人材育成の前には、「目標を明確にする」ことも重要です。自社の事業目標を達成するためには将来的にどんな人数構成が必要であり、そのためには何年後までにどのような人材を何人くらい育成する必要があるのかを考えてみましょう。どんな人材がどれだけ不足しているのかを算出するためには、現在の社員構成を年齢、役職、スキルなどに分けて把握する必要があります。現在の社員構成と将来的に理想とされる社員構成とのギャップが、これから育成していくべき層だといえます。

ただし、その際には現場の社員や中間管理職の意見も聞いてみることが大切です。なぜならば、彼らのニーズは経営者の想定と異なることも多く、現場の声を無視した人材育成を進めることで、社内に不満が広がる可能性もあります。経営者の将来的な想定と現場の現実的なニーズの両方を踏まえたうえで、自社にとって理想的な目標を作ることが肝心です。

企業が人材育成の目的を達成するには?

企業が人材育成の目的を達成するには、これから説明する制度や考え方を取り入れていくことが大事です。

目標管理

人材育成の成果を上げるためには、目標管理の仕組みを整えておくことが必要です。目標に対して、これだけ進捗できたとわかれば社員の励みになりますし、達成するために不足している課題も明快になります。実際に多くの企業で実施されている目標管理の方法は、それぞれの社員が目標を決め、その達成度合いを半期ごとなどに評価する制度です。上司はまず、社員の立てた目標設定がその社員のレベルに対して適正かを判断し、最終的なアウトプットの評価も行います。上司としては部下が目指している目標や課題を理解することができます。社員にも、自らがある程度の期間をかけて達成したい目標を立て、それを上司に示すことによって、業務に対する計画性や責任感、積極性が育つ効果が期待できるでしょう。さらに、社員に目標達成のための具体的な手段まで考えさせるとより効果的です。

人事評価

企業が人材育成の目的を達成するには、公平な人事評価制度も必要です。人事評価とは、社員の働きぶりや会社への貢献度などを評価し、昇給・昇進の基準とする制度のことです。年功序列ではなく、実力や実績を基準とした昇給・昇進を実施することで、社員のモチベーションを上げられます。その際には、社員自らが設定した目標管理の達成度を軸にすると良いでしょう。仕事のアウトプットだけでなく、職場での協調性や他部門からの評価なども判断項目に加えることで、よりバランスの取れた人事評価制度になります。公平な制度を作り、人事評価を客観的に数値化することによって、評価する側もされる側も状況を把握しやすくなります。さらに、上司の個人的な好き嫌いで評価したという憶測も生まれにくくなるため、社員から不満も出にくくなるでしょう。

タレントマネジメント

人材育成を成功させるためには、タレントマネジメントの考え方も意識して取り入れましょう。タレントは、才能という意味です。タレントマネジメントとは、社員それぞれが持つスキルを才能と捉え、それをもっとも生かせそうな部署や役職に配置することで、パフォーマンスの最大化を目指すことです。社員は得意分野を生かした活躍がしやすくなり、それによって高い評価を受けられる可能性が高まります。自分の強みを生かした仕事で正当な評価を受けることができれば、おのずと仕事に対するモチベーションもアップするでしょう。企業としても、全体のアウトプットが高まります。タレントマネジメントを成功させるためには、自社の発展にはどのようなスキルが必要なのか把握しておき、そのようなスキルを持つ人材を多く育てることが大事です。

企業が人材育成の目的を達成するための方法

最後に、企業が人材育成の目的を達成するための具体的な手法について説明します。ここで説明する3つの手法は、多くの企業でも導入されている代表的なものですので、自社の育成方法に悩んでいる場合は検討してみてはいかがでしょうか。

OJT

まず、OJTとは、「On the Job Training」の略で、実務を通して仕事に必要なスキルや知識を身に付ける方法です。新人を対象に行われることが多く、指導役の上司や先輩から日々の業務のやり方を教わります。実践的にスキルや知識を会得するため、即戦力の育成方法としてはとても効率的です。講義と比べると応用力も身に付けやすいという利点もあります。ただし、新人のスキルや習得スピードによっては、指導役に負担がかかってしまいます。また、OJTは基本的には指導役に一任されるため、指導役が自身の業務で忙しかったり、育成に熱心でなかったりすると、新人が放置されてしまうケースも少なくありません。

Off-JT

次に、Off-JTとは、「Off the Job Training」の略で、職場以外での研修を通じてスキルや知識を身に付ける方法です。外部講師を招いて実施するセミナーや集合研修などの形式が一般的です。新人の研修においては、まずは集合研修でのOff-JTで、共通する基本的な知識を学ばせたうえで、各部署でのOJTに移るといった流れが多くみられます。このように、OJTとOff-JTは相互的な関係でもあり、講義形式で学ぶ場合でも、できるだけ実務に活かせるような内容にする必要があります。座学よりもより実践的なロールプレイングやケーススタディなどを取り入れて、実務に生かしやすい工夫をするのもひとつの方法です。

SD

最後のSDは、「Self Development」の略で、自己啓発のことです。社員自らがビジネス本を読んだり、業務に関係する内容のセミナーに参加したりして学ぶほか、語学を習うことなどが含まれます。中には、企業がその書籍代やセミナーの受講料を負担することで、社員の自己啓発を促進しているケースもあります。SDのメリットは、社員が自分のペースで行えることですが、業務が忙しくなってきた場合などにはおざなりになりがちです。そのため、企業のほうで社員が好きなときに行える通信教育やe-ラーニングを用意している場合もあります。いずれの場合においても、SDにおいて大事なのは社員の自発性を尊重することです。

まとめ

人材育成は企業を発展させるためには必要不可欠ですが、その目的は対象となる社員や自社の現状によっても異なります。適切な人材育成を行うためには、まずは自社の課題を明確にしたうえで、それを解決するためにどのような人材育成が必要かという考え方が必要です。紹介した考え方や育成方法を参考にして、自社の目的に合った人材育成を行いましょう。

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