2017.09.13360度評価

360度評価の導入は大手企業が中心!浸透しない理由とは

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

company-rankings-take-advantage-people
アメリカの売上規模上位1000社の内、90%の企業で導入されていると言われる「360度評価」は、日本でも近年注目され始めた新しい人事評価制度です。この評価方法の特徴は、従来のように「上司が部下に対して行う」だけではなく、部下や同僚など、多方面から評価が行われる点にあります。

360度評価には、さまざまな視点からの評価を得ることにより客観性が保たれるだけではなく、一面的な評価では分からなかった被評価者の適性を把握できるメリットがあります。

今回は360度評価について、日本企業における導入推移をもとに、大企業や成長企業では取り入れられている一方で、そのほかの企業では導入が進まない理由についてまとめました。

「人を活かす会社ランキング」から分かる360度評価の導入企業数推移

number-of-firms-transition日本経済新聞社が毎年発表している「人を活かす会社ランキング」では、2004年より、「360度評価の有無」が評点項目として採用されています。

「人を活かす会社ランキング」は、企業およびビジネスパーソンを対象に、人材採用や育成、評価、ワークライフバランス、職場環境やコミュニケーションなどに関して行われる独自調査です。以前は「働きやすい会社ランキング」として発表されていましたが、2013年版から「人を活かす会社ランキング」へ名称が変更されました。

このランキングで「360度評価を導入している」と答えた企業数の推移を見ると、ここ数年、およそ全体の25%程度で横ばいとなっています。アメリカと比較した場合、日本では圧倒的に導入が進んでいません。

大企業や成長企業が人事評価に360度評価を導入する理由

日本ではなかなか導入が進まない360度評価ですが、大企業や成長企業に限定すると、活用の動きが広まっています。

360度評価の大きなメリットに、「より精度の高い評価が行える」点があります。360度評価では、複数の人が評価に加わるため、従来よりも客観的かつ納得性の高い評価を行うことが可能です。

さらに、大企業・成長企業が積極的に360度評価を取り入れている理由としては、以下が挙げられます。

【1】部下を理解し、マネジメントに活かせる

take-advantage-of-management大企業では、1人の上司が多数の部下をマネジメントしています。そのため、上司がすべての部下の行動を把握し、正しく評価することは大変困難です。しかし、数字に表れる成果や実績のみに目を向けた「量」的な評価に終始しては、部下の伸ばすべき能力や改善点などを発見することはできません。機械的な評価を受ける部下の立場から見ても、不満がたまることでしょう。

そこで、360度評価を実施することにより、多くの人から多面的な所見を獲得することになり、上司の負担が削減されます。また、部下の行動や適性を正しく把握し、適切な人事や育成支援を行うことが可能になります。

【2】経営陣と従業員のコミュニケーションにも役立つ

大企業では一般的に、経営陣と一般の従業員がコミュニケーションを取る機会が少なく、上層部が考える「経営方針」や「目指す姿」、「行動規範」などが従業員にきちんと伝わっていないケースも散見されます。

そのような場合に、「経営方針を実現するための行動ができているか」など、従業員に伝えたいことを360度評価の項目として取り上げることは効果的です。評価者も被評価者も経営陣が考える評価項目に目を通すことにより、自社における「優良社員」の基準を意識し、実践するようになるでしょう。

このように360度評価は、経営陣と従業員とのコミュニケーションツールとして活用することもできます。

【3】チームワークを高める効果も

360-raise-teamwork360度評価を実施した場合、従業員間でお互いを観察する必要性が生じるため、チームワークに対する意識にも変化がもたらされます。

また、評価者という立場に立つことにより、各社員の責任感が向上する効果も期待できます。一人一人に自身の行動を見直す意識が芽生えるため、主体的に仕事に取り組む従業員が増え、業務効率も上昇するでしょう。

社員数が多くコミュニケーションが希薄になりがちな大企業や、会社そのものが若く従業員同士の親睦が深まっていない成長企業において、続々と360度評価の導入が進んでいる背景には、このような事情も関係していると考えられます。

なぜ導入が進まない?日本企業における360度評価

「働きやすさ」「人材活用」の指標ともなる360度評価ですが、導入に踏み切れない、あるいは実施後に中止してしまう企業も多く見受けられます。なぜ、日本では導入率が伸びないのでしょうか。

代表的な原因としては、導入や活用の方法について多くの企業が十分に理解していない現状が挙げられます。導入に関して悩んでいる企業は、まず360度評価の適切な導入や実施方法について把握することが必要です。しかし、国内における360度評価の成功例に関する情報が未だ少ないため、360度評価の導入や活用の方法について正しく理解している企業は多くありません。

360度評価を実施している企業が、目的が曖昧で結果を活用しきれていないことに要因があります。360度評価は人事マネジメントを踏まえて導入しなければ、単に従業員の手間を増やすだけで終わってしまいます。360度評価を導入する際には、人事異動や組織編制の参考にどのように活かすか、あるいは、人材育成にどのように活用していくかといった人事マネジメントを含めた導入設計を行うことが大切です。

人事マネジメントに活用しやすい360度評価の導入ならスマレビ

360度評価導入時の注意点

360-notes360度評価は、評価者となる従業員の負担が大きく、従来の一面的な評価方法と比較して、実施に手間がかかります。そのため、目的や効果を十分に説明しないまま導入した場合、社員の不満を膨らませるだけで適切な評価を得らない可能性があります。また、人事評価に関する知識や経験がない従業員も評価者として携わるため、十分な説明がない場合は主観的な判断により、職場内の人間関係の悪化を招く可能性も少なくありません。社員同士がお互いの評価をよくするために談合したり、上司や部下がお互いに機嫌を取ったりすることも考えられます。仲間意識の強い風土の企業では、全員が高い評価をつけ合うことも起こり得るでしょう。

このような事態を防ぐためには、導入前に360度評価の目的や効果について従業員に説明を行い、正しく理解してもらうことが何よりも大切です。360度評価は被評価者の能力そのものを評価するのではなく、被評価者の職務上の行動を評価し、本人にフィードバックすることで、行動改革につなげていくためのものです。また、評価の際の匿名性を守るとともに、フィードバック研修を実施し、結果をどのように活かしていくか助言を行うようにしましょう。

おわりに

360度評価の国内企業における導入推移や大企業などで導入している理由、一方で多くの企業が導入に踏み切れずにいる原因などについてご紹介しました。

360度評価は、社員の働きやすさにもつながり、人事や人材育成の面でも企業の発展に大きく貢献する制度です。しかし、日本の企業における導入率はまだまだ低く、横ばい状態が続いていることも事実です。

今後、360度評価の本質を理解し、効果的に利用する企業が増加すれば、有用性も広まっていくことが見込めます。裏を返せば、導入が進んでいない今こそ、360度評価を活用することで、他の企業よりも一歩先を行く成長のチャンスであるとも考えられます。

360度評価の導入を検討中であれば、今回の記事の360度評価の利点や注意点を踏まえたうえで、再度、導入に向けた議論を行ってはいかがでしょうか。

ASP型360度評価支援システムならスマレビfor360°

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
The following two tabs change content below.
人事評価ナビ編集部

人事評価ナビ編集部

人事考課の評価基準や人事面談や多角的な360度評価など、人事評価に関するお役立ち情報を発信しています。