2017.09.21その他

想定外のことが起きたらどうする!? 音楽マネージャーの利害管理術

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「あちらを立てればこちらが立たず」。

ビジネス上、利益を主張することは重要なことだが、一方のステークホルダーの利益を大事にして、他方の利益を浸食するようなことがあれば、場合によっては訴訟に至ってしまうこともあるだろう。

ともあれ、人と人との間に立つことによって苦労することは多いもの。特にそれが、社内外を問わず、金銭の関わる利害関係の中での話となれば、利害調整で苦心することになる。

そこで、利害調整を上手に管理できるマネジメントとはどのようなものなのか。今回は音楽業界のライブマネージャーに目を向けてみる。

7-2CDが売れない時代と言われて久しいが、音楽業界の火がすっかり落ちてしまっているわけではない。ことライブやコンサートに関しては右肩上がりに公演本数が増えている。一般社団法人コンサートプロモーターズ協会の調べによると、2006年時には約1万4000本だった公演本数が、2016年には約2倍の3万弱の本数を数えている。

ライブやコンサートには、プロモーターをはじめ、アーティスト、事務所、ハコと呼ばれる会場など、さまざまなステークホルダーの思惑が入り込む。またイベント特有の「予定外」の出来事も頻発する。

わかりやすい例で言えば、海外アーティストにまつわるトラブルだろう。音楽業界でよく聞く話では、

・公演開始時間に何時間も遅れる(ライブがなかなか始まらない)
・言っていることがころころ変わる(さっきまで「今日のディナーはスシ」と言っていたのに、店を予約したら「ヤキニク」に変わっている)
・突然街に出没したがる

あたりだろうか。特に公演開始時間に何時間も遅れて、場合によってはチケット代返金などの騒ぎになれば大打撃だ。もちろんこれは一部のアーティストに限ったことだが、ライブのため来日要請をしたマネジメント担当者からすると背筋にかいた冷たい汗が凍りつくほどの緊張感とストレスになる。

「実際に、私もアーティストが何時間もステージに立たない状況は何度か経験したことがあります。体調不良や機材トラブルの場合もありますが、大概の場合はメンタルの問題なんです。でも、誰も怒ったり叱ったりできないので、ひたすら待つしかない。ひどいときには、終電が間に合わず、数曲も聞けないうちに帰らざるを得なくなります。当然、チケット補償の声が上がることもありますよ」(海外アーティスト招聘に詳しいライブマネジメント担当者)

実際にそうなった場合、アーティストサイドとはどのような話し合いが行われるのだろうか。また、どのように利害状況を説明し、納得させるのだろうか。

「もしそのような事態が出てきた場合、話し合いで解決できる可能性は少ないでしょうね。ですから私たちの場合は事前にあらゆるトラブルの想定をしておきます。それも、かなり細かく。契約をする前に、『こうなったら、責任は持てませんよ』などの取り決めをしておくのです。大事なのは、契約をする前。利害関係は途中から調整するのではなく、契約書にサインをする前に、すべて終わらせておくんです。でなければ、怖くて呼べません(笑)」

利害関係のマネジメントにおいて、重要なのはプロジェクトを動かす前にすべてを想定し、調整しおえておくことだ。日本国内では、文化的な背景もあいまって、決め事をあいまいにしたまま話を進めるケースも少なくない。余計なリスクを背負わないために、またお互いが気持ちよくビジネスに取り掛かるために、事前の調整をおろそかにしてはいけない。

参考資料:一般社団法人コンサートプロモーターズ協会「活動内容と取り組み/基礎調査推移表」
http://www.acpc.or.jp/marketing/transition/

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人事評価ナビ編集部

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