サーバントリーダーシップとは?10の特性や事例・導入時の注意点
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サーバントリーダーシップは、昔ながらの支配型のリーダーシップとは大きく考え方が違うリーダーシップです。
そのため、どのようなリーダーシップなのかわからない企業の人事担当者の方も多いのではないでしょうか。今回はサーバントリーダーシップとは何か、概要や導入のメリットとデメリット、導入時の注意点について解説します。
サーバントリーダーシップを導入し、企業の組織改革を行う参考にしてください。
目次
サーバントリーダーシップとは
サーバントリーダーシップは、ロバート・K・グリーンリーフが提唱した考え方で、「まず部下に奉仕し、そこからチームを先導するリーダーシップ」を意味します。
参考:参考図書リンク
従来のリーダーシップとの違い
サーバントリーダーシップは従来のリーダーシップとは大きく異なります。細かい点はいくつかありますが、部下への接し方にその違いが大きく現れるでしょう。
従来のリーダーシップはいわゆる支配型リーダーシップであり、リーダーの定めた方針のもと、強い統率力で部下を引っ張るものでした。指示や命令を行い、権力を使い、部下を自分のコマのように使う場合もあります。
サーバントリーダーシップは逆に部下との信頼関係を築き、部下の自主性を重んじるリーダーシップです。上司は指示や命令を出すのではなく、部下のやる気や意見を尊重し、ともに成長しようとします。
このような姿勢にサーバントリーダーシップと従来のリーダーシップとの違いが出ているのではないでしょうか。
注目されるようになった背景
サーバントリーダーシップは注目されるようになったのは、VUCA時代と呼ばれる時代が訪れたことが大きなきっかけです。VUCA時代とは、変動性(Volatility)、不確実性(Uncertainty)、複雑性(Complexity)、曖昧性(Ambiguity)の頭文字をつなげたものです。
これらの要素により、変化が早く見通しが立てにくくなった時代を示します。
これらの性質により、未来の予測が複雑になり、先の見通しが難しくなりました。そのような時代に対応するためには、時代の変化に柔軟に対応できることが大切です。
サーバントリーダーシップでは、従業員一人一人の主体性を育て、組織内での信頼関係も育まれます。傾聴の姿勢によって、消費者へのニーズ調査の精度にも影響し、顧客満足度の向上にも効果的です。
そのため、VUCAの時代にも柔軟に対応しやすくなります。
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サーバントリーダーシップの10の特性
サーバントリーダーシップは、NPO法人日本サーバント・リーダーシップ協会によって、以下10の属性に分けられています。
・傾聴
・共感
・癒し
・気づき
・説得
・概念化
・先見力
・執事役
・成長に関わる
・コミュニティ作り
参考:NPO法人 日本サーバント・リーダーシップ協会 サーバントリーダーシップの10の属性
https://www.servantleader.jp/about/10s
それぞれどのような性質か、次で詳しく解説します。
傾聴
相手の話に耳を傾け、相手の望みを聞き出す力です。相手の話だけではなく、自分の内面も観察し、内なる声を聞くことも求められます。
共感
相手の立場に立って何をして欲しいか、共感できる力です。
癒し
癒しとは人や組織の中で欠けていることや傷ついていることを把握し、本来の力を取り戻させる力です。
気づき
気づきとは、客観的にものごとを観察し、本質的な問題や改善点に気づけることを意味します。
説得
相手にわかりやすく説明し、納得させられる力です。このときには既存の権力などを使わず、相手の話を聴きながら、双方の合意を得ることが求められます。
概念化
概念化とはものごとの本質を把握できること能力です。概念的な目標やビジョンを実現するのに必要な、制度や目標に具体化できることも重要です。
先見力
先見力とは過去の出来事から学習し、未来を予測できる力です。100%の予測は難しくとも、起こりうる未来をいくつか予想し対策することも先見力の一つです。
執事役
執事役とは、大事なものを任せても安心だと思われる人物です。そのような信頼関係が作れることで、部下は安心して仕事を行えるようになります。
成長に関わる
自分が人の成長に向けて深くコミットできるかどうかが、サーバントリーダーシップには求められます。部下の特性や強みを把握し、その力を発揮できるようアドバイスをすることが大切です。
コミュニティ作り
同じ会社や組織の中で、お互いが助け合い成長できるコミュニティを作ることが大切です。サーバントリーダーとして適切な行動ができていれば、メンバーも他のメンバーやリーダーに対して奉仕する環境が整います。
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サーバントリーダーシップ導入のメリット
サーバントリーダーシップの導入は、長期的に見ると、多くのメリットがあります。具体的には以下のものがあります。
・従業員が自律して行動する
・顧客満足度の向上につながる
・離職率が下がる
・チームの関係性がよくなる
次で詳しく解説します。
従業員が自律して行動する
従業員に自律した行動が促せることがサーバントリーダーシップのメリットです。
サーバントリーダーシップでは、部下の自律性を尊重し、主体的な行動を求めます。そのため、上手く機能すれば、自律心が育ち、自分から行動できる社員が育つでしょう。
また、自律できるようになった結果、社員がそれぞれの強みを発揮しやすくなる点もメリットです。
顧客満足度の向上につながる
サーバントリーダーシップは顧客満足度にも影響します。サーバントリーダーシップで求められる傾聴は顧客へのニーズ調査にも役立つスキルです。
VUCA時代には顧客のニーズを適切に分析し、顧客の声を聞き柔軟に対応できるかどうかが求められます。
個人の主体性が育まれ、周囲とも良好な関係を作るのに役立つリーダーシップです。そのため、組織全体の対応力が高まることが期待されます。
離職率が下がる
サーバントリーダーシップは社員の離職率低下に役立ちます。社員が主体的に行動し、組織内での信頼関係が構築されることで、従業員満足度が高まるためです。
チームの関係性がよくなる
サーバントリーダーシップでは、従業員の主体性を重視し、それぞれが意見を発信することを重視しています。また、上司が部下に奉仕することで、発信しやすい雰囲気づくりにもつながるでしょう。
その結果、従業員間での信頼関係が育まれるため、コミュニケーションが取りやすくなり、チームの関係性がよくなります。
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サーバントリーダーシップ導入のデメリット
サーバントリーダーシップは、導入に多くのメリットがありますが、デメリットもあります。具体的には以下の点です。
・運用時には時間がかかりやすい
・メンバーの主体性がないと機能しない
これらのデメリットがあるため、従業員の主体性や運用の手間を考えておく必要があります。
運用時には時間がかかりやすい
サーバントリーダーシップは運用時に時間がかかりやすい点がデメリットです。
サーバントリーダーシップを実践するときには、一人一人の話を丁寧に聞き、双方に合意を得てから進める必要があります。
そのため、意見が割れた場合には、意見のすり合わせに時間がかかる点が課題です。
メンバーの主体性がないと機能しない
サーバントリーダーシップはメンバーの主体性を求めるため、主体性がないメンバーがいると機能しません。
しかし、主体的に行動することは従来のリーダーシップで従業員には求められていないものでした。そのため、急に主体的な行動を求められても対応できない場合があります。
そのような社員が多い場合、サーバントリーダーシップはうまく機能せず、離職につながる可能性もあるでしょう。
サーバントリーダーシップの導入事例
サーバントリーダーシップは、すでにいくつかの企業で取り入れられ、成果を出しています。ここではどのような企業で導入されているか、具体例を紹介します。
スターバックス
スターバックスはサーバントリーダーシップを取り入れ、「ポジションやタイトルに関係なく、個性や強みを生かしていきいきと活躍している」ことを大切にしていることを明言した企業です。
10〜20代の若手従業員がイキイキと働けるよう、制度やプロジェクトを推進しています。
参考:Starbucks Youth Leadership
https://stories.starbucks.co.jp/ja/stories/youth-leadership/?nid=mm
ダイエー
ダイエーは経営業績の悪化により、従来の支配型のリーダーシップからサーバントリーダーシップへの転換を図った企業です。
2005年にダイエーの社長に就任した樋口泰行氏は、全従業員から生鮮食品の鮮度改善に向けたプロジェクトチームを発足させました。希望者を募集し、年齢や性別、ポジションに関係なく意見を言わせる環境を作りながら、コミュニティづくりを行ったことが大きな特徴です。
その結果、生鮮食品の鮮度を回復させ、顧客からの信頼も回復させることに成功しました。
参考:PRESIDENT Online あなたはサーバント・リーダーか、支配型リーダーか?
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サーバントリーダーシップ導入時の注意点
サーバントリーダーシップを導入する場合、ただ制度として導入してもうまく機能しません。ここではサーバントリーダーシップを導入する際の注意点について解説します。
優しさと混同しない
サーバントリーダーシップは優しいリーダーとは異なります。例えば、困った部下に対して業務を代わりにやるなどするのは、サーバントリーダーシップとは異なるものです。
そのような行動は、部下の主体性を損ない成長の機会を奪ってしまいます。サーバントリーダーシップでは部下に積極的に関わりつつ、将来性や成長を考え、相手に任せ、組織全体が成長できることを目指します。
経営陣をはじめとした意識改革が重要
サーバントリーダーシップを導入するためには、経営陣をはじめとした意識改革が必要です。
経営陣が中間管理職などに対して、奉仕の精神を持って積極的に関わらなければ、その考え方が中間層から下に伝わりません。
組織改革が重要
多くの日本の組織はピラミッド型の組織になっていますが、ピラミッド型の組織のままでサーバントリーダーシップの考えは適用できません。サーバントリーダーシップの考えを適用するためには、リーダーが部下を支える逆ピラミッド型の組織づくりをする必要があります。
しかし、これはただ制度を作れば機能するというものではありません。組織の課題を分析し、従業員がどのように考えているか、どのような評価をされているかをお互いに知る必要があるでしょう。
まとめ
サーバントリーダーシップの導入はVUCA時代に対応できる人材を育てるために有効な手法の一つです。
従業員の主体性を育て、チームの関係性を作ることで、変化に強く顧客目線での組織づくりに重要な役割を果たします。
しかし、サーバントリーダーシップを導入するためには、経営陣の意識改革やピラミッド型の組織を逆ピラミッド型にするなどの組織改革が必要です。
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