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【セミナーレポート 11月4日実施 】アジャイルHR共催セミナー「これからの“マネジメントの型”とは?OKRと360度フィードバックを徹底攻略」

今回は11月4日に行われた「これからの“マネジメントの型“とは? OKRと360度フィードバックを徹底攻略!」のセミナーレポートをお届けいたします。
株式会社アジャイルHR 代表取締役社長 松丘啓司氏と、株式会社シーベース 代表取締役社長 深井幹雄氏が登壇。
社会環境変化が企業や組織に与える影響を読み解いた上で、今後の不確実な時代の組織マネジメントに欠かせないOKRと360度フィードバックの活用方法や有用性について解説しました。

■講師
株式会社アジャイルHR 代表取締役社長
松丘 啓司(まつおか けいじ) 
1986年東京大学法学部卒業後、アクセンチュア株式会社に入社。同社のヒューマンパフォーマンスサービスライン統括パートナーを経て、2005年に企業の人材開発を支援するエム・アイ・アソシエイツ株式会社を設立。2018年に株式会社アジャイルHRを設立し、パフォーマンスマネジメントを中心としたHRテクノロジーとコンサルティングサービスに従事している。 主な著書 『1on1マネジメント』『人事評価はもういらない』等

株式会社シーベース 代表取締役社長
深井 幹雄(ふかい よしお) 
1995年エン・ジャパン入社。執行役員として新卒サイト、
派遣サイト、エージェントサイトの事業部長を経験。
2017年シーベースの代表取締役に就任。年間100社を超える企業を訪問し、
組織開発、人材開発の課題解決をサポートする。

社会構造が変化し、MBOがイノベーションの阻害要因に

今の日本企業におけるMBO(目標管理制度)を中心とした組織マネジメントは、20年ほど前に始まっています。今日の仕組みは1990年代のバブル経済崩壊後の低成長時代に対応するために、それ以前の日本型経営を構造改革する必要性から導入されました。松丘氏はMBOの弊害を次のように解説します。
「現在はウォーターフォール型の目標管理制度であり、上から『全社→事業部→部→課→個人』と目標を割り当てて、その達成度を人事評価に用いています。しかし、そこにはMBOの弊害が生まれています。ほとんどの日本企業が採用している目標管理・評価制度(MBO)は、イノベーションの阻害要因になっているのです
MBOの問題点としては「受け身・待ちの姿勢の助長」「チャレンジ精神の阻害」「組織のサイロ化、個人の孤立化」「部分最適化」「働きがいの減退」が挙げられています。

ここで深井氏は組織変革のキーワードについて解説しました。
「最近、お客様に『デジタルエコノミーになっての一番の変化は何か』と聞くとスピードとおっしゃられます。今は変化が激しいので、市場の声をいかに速くキャッチして事業に反映させられるかが重要。しかし、経営陣がもう答えを持っていない点に大きな変化があります。それを踏まえたときに組織変革のキーワードは四つ。一つ目はいかにイノベーションを促せるか。二つ目はいかに変化に対応できるかというアジャイル(俊敏さ)の考え方の実践。三つめはトップダウンではなくミドルアップ、ボトムアップの重視。四つ目はバリューの見直しです

組織マネジメントが変化し、マネジメントセットを活用する企業が増加

昨今、両利きの経営の重要性が叫ばれていますが、企業ではあまり進んでいません。両利きの経営とは、今の主力事業以外にも積極的に新規事業を考えようとする経営論です。松丘氏は進まない理由として、既存事業の深化に適応した組織マネジメントを行ってきた結果、それが組織風土にも浸透していると指摘します。「なかなか新規事業の探索に求められるような行動様式が育まれていない。あるいは、そうした行動を押さえつけるカルチャーができてしまっている。それをいかに変えるかが企業課題となっています
そこで最近は目指す行動様式を「バリュー」として明示する企業が増えています。そこには「自律」「チャレンジ」「イノベーション」「チーム」などの言葉が多くみられます。これらをいかに浸透させるのか。
「言葉を組織マネジメントとして組み込まれる仕組みに落とさないと、バリューはなかなか浸透しません。そこでマネジメントセットを活用する企業が出始めています。組織の運営はOKR、個人の行動についてはValues、パフォーマンス向上では1on1、そして360度フィードバックも評価制度として活用されています

深井氏は風土づくりのポイントを次のように述べています。
風土づくりは外科手術ではできません。組織開発は漢方薬だとよく言われますが、フィードバックのループを回すことが組織体質の改善につながります。いかに施策を運用するかがポイントです」

360度フィードバックと相性のいいOKRを組み合わせて実践

OKR(Objectives and Key Results)はグーグル等で活用されていますが、これは決して特別な手法ではなく、MBOの問題点を解消し、目指す行動様式を奨励する目標管理のコンセプトのことです。松丘氏がOKRの五つの特徴を解説しました。

①構造化とフォーカス
「Objectiveとはこのゴールに到達したいという意志です。何が達成されたらゴールに到達したといえるのかを、測定可能な指標で設定したものがKey Resultです。OKRには主体的な意志が入っています」
②アラインメント
「上意下達ではなく、トップダウンとボトムアップを融合し、下から上に自分の選択を伝えていくことです」
③アンビシャス
「チャレンジを奨励し、達成度で評価しないということです」
④クロスファンクション
「連携を奨励していきます」
⑤オープン
「誰がどんな目標を持ち、どんな状況かを広く公開します」

それではOKRの意義とは何でしょうか。
MBOは個人目標がフォーカスされますが、OKRでは会社全体でOKRのツリーをつくっていきます。パーパス・ビジョンに向けてベクトルを合わせ、トップ、ミドル、メンバーという層で連携して、「やりたい」というパワーを結集していく全員参加の共同作業です

【参考】グーグルの評価プロセス

グーグルではOKRに基づいて組織運営を行い、評価では360度フィードバックを用いています。自己評価を行った後に360度フィードバックを実施。その結果を踏まえて、マネジャーが評価した後に評価会議で決定しています。
「なぜ360度フィードバックを導入しているかというと、直属のマネジャーだけが評価すると、そのマネジャーが関心のあることだけを部下が行うようになるからです。そうなると自律性が損なわれます。
また、バリュー評価を360度フィードバックに入れています。そうすると社員全員が評価者になり、被評価者にもなる。すると常にバリューを意識するようになります。360度フィードバックはOKRと共に用いると相性がよいと思います。こうした施策を成功させるにはトップがどれだけ真剣に推進するかが大切です

360度フィードバックでフィードバックのループを組織に定着させる

360度フィードバックは『本人の認識と他者の認識とのギャップ』を理解し、行動変容させることで、一人ひとりの成長を支援する人事施策です。次に深井氏が360度フィードバックについて解説しました。
「これは一言でいえば仕事中の自分を知る鏡。能力評価ではなく、その人の行動が周囲から見たときにどのように映っているか。行動の癖へのフィードバックである点がポイントです

次に360度フィードバックを評価に導入する際にはステップがある、と深井氏は指摘します。
まず初期は個人の開発、人材開発として利用されます。結果は本人のみに知らせている。二つ目のステップでは個人および組織の開発を目的として、対象者と上司で情報を共有します。ここで上司は人材開発の観点でフォローアップします。ここまでは評価に一切関わりません。三つめのステップから人材開発と評価が目的となります。対象者と上司、そして人事が情報を共有。結果は評価面談の材料として使われ、昇進降格の材料になります。四つ目のステップでパフォーマンス評価まで活用され、フィードバックのループが組織に定着したことで、タレントマネジメントや後継者計画にも使われていきます。この流れを考えると2~3年スパンで考えるべき施策といえます」

次に深井氏は導入例を紹介しました。
「個人および組織の開発のステップ」にあるT社では、管理職を対象に年1回実施。管理職の能力開発、理念の浸透を目的に行って、フィードバックは上司との個別面談にて実施。
「人材開発と評価のステップ」にあるB社では、管理職を対象に年1回、リーダーシップ要件の浸透、昇降格の参考材料にすることを目的に実施。全階層共通の設問シートを使用し、各階層別の期待役割に基づくフィードバックを行っています。
U社では全社員を対象に年2回実施。導入はバリューに基づく行動ができているかのフィードバックが目的です。各バリュー別にコメントも取得し、具体的にフィードバックを行っています。
「パフォーマンス評価のステップ」にあるM社では、全社員を対象に年1回実施。狙いはバリューに基づく評価と給与への反映です。評価者による不公平感をなくすため、直属上司の評価ウェイトを7割にしています。
G社では全社員に対して年1回実施。狙いは協働する他者からの支持を評価へ反映です。協働者の視点を意識させるため、MBOの中に360度フィードバックの結果を5%反映しています。
「各社、運用方法はさまざまですが、いずれもフィードバックのループを回し、有効な結果を得られる状態にしていることがポイントです。もっともよくないのは本人任せにすること。内省する力には個人差があります。問題を抱えている人にはレポートをきちんと理解する場が必要です。人は評価のイベントは嫌いなものですが、360度も、何かを評価されるのではないか、ダメな点を指摘されるのではないかと誤解しているケースが多くある。360度フィードバックでは個人の強みを認識することに意義があります。我々が企業をお手伝いして感じることは、強みに関して自己認識のない人が多いことです。これは自覚をもって能力を発揮できていない人が多いということ。強みを自覚し、『これを活かしていけばいいんだ」と認識してもらうことが大事です。強みが認識されると、改善の指摘も「これは期待だ」と受け取り方が変わります。こうした認識の順序が重要です」

360度フィードバックを成功させる10のポイント

次に松丘氏が両社のサービスについて解説しました。
「アジャイルHRが提供する1on1naviはOKRと1on1を支援するためのツールです。一人ひとりの行動変革の支援を行います。シーベースのスマレビfor360°では360度フィードバックを支援。この二つのサービスを組み合わせることで、一人ひとりの状況を可視化でき、組織風土改革の全体を支援することが可能になります」

ここで深井氏が「人材開発はツールを入れたら解決するというものではない。最終的には人の力が必要」と語り、スマレビfor360°の導入を成功させるポイントについて解説しました。360度フィードバックには『準備→回答→フィードバック→改善→定着』という5つのステップがあります。このステップの中に、10の成功ポイントがある。それは、①設問 ②回答者選定 ③社内説明会 ④回答方法 ⑤フィードバックレポート ⑥読み解き方 ⑦行動改善の明確化 ⑧感謝コメント ⑨組織レポート ⑩改善の定着です。
「社内説明会をなぜ行うかというと、いいフィードバックが集まってこないからです。360度フィードバックの対象となる人への説明が手厚い企業は多いのですが、回答する方へのケアが薄い企業が多い。シーベースではシステムおよび動画、マニュアルなどを提供し、運営時にはメンバーが企業と伴走して支援します。今回、アジャイルHRさんと連動していますが、連携しながらワンパッケージとして施策を提案させていただきます」

Q&Aセッション

Q:OKRと360度フィードバックを組み合わせて導入する場合、最初はどれくらいの期間を想定して考えるべきか?
松丘:一般的に期間は1年半から2年くらいが多いと思います。特に評価での導入となると期末に評価することになるので、どうしても長くなる傾向にあります。

Q:OKRとMBOの違いを端的に表現するとどうなるか?
松丘:MBOは上から降りてくるウォーターフォール型であり、OKRは一人ひとりの主体性を大事にしてゴール設定を考える点に違いがあります。

Q:OKRを見直す頻度はどれくらいが適当か?
松丘:事業の種類や目的によって違います。変動の大きいIT系や新規事業系だと3ヵ月という短期もあれば、逆に年予算などに縛られずにもっと大きなことを達成したいという場合は長期になります。

Q:部下から上司に気軽にフィードバックさせるために、心理的安全性を確保するうえで重視すべきことは?
深井:何のために行うかという目的の共有を行うことです。ネガティブな話も建設的にしてもらううえで、この点は大事になります。もう一つは回答者が誰かはわからないということを伝えることです。私たちが説明会を行うときはレポートの見本を見せて、名前がわからないことを理解してもらっています。また、今回対象となった人から皆に感謝コメントを発表してもらうことも、次回実施に向けて効果があります。それによって、対象者が評価をきちんと受け止めてくれたということが周囲に伝わり、次回のフィードバックのしやすさが違ってきます。

Q:360度フィードバックについて、初期は人材開発ツールとしての意義が強いとありましたが、OKRも同様と考えていいでしょうか。初期から昇給・昇格の指標とすることはレベルが高いでしょうか。
松丘:OKRは評価制度ではありません。OKRの達成に向けてがんばった結果としての成果や途中過程の行動は評価の対象となります(何を対象として評価するかは制度によって異なる)。ご質問に対する回答としては、OKRの達成度を昇給・昇格の指標とするのは避ける必要がありますが、成果や行動の評価結果を初期から昇給・昇格の指標とすることには問題ありません。ただし、現行制度における成果評価の方法が個人目標の達成度によって決められる方式になっていたとするなら、その部分の制度見直しが必要です。

Q:1人1人が自主的にゴールを設定できても、そのゴールがMBOにある会社方針に沿ったものであれば、違いが無いように思えてしまうのですが、OKRの特色はどのようなものですか?
松丘:1人ひとりがOKRを設定する前提として、上位層のOKRが設定されている必要があります。全社でOKRを導入する際には、最初にトップのOKRが作られる必要がありますが、トップのOKRがこれまでの予算目標と代わり映えしなければ、従業員にも違いがわからなくなる恐れがあります。OKRの1つの特色はトップが優先度の高い大胆なゴールを示すことで、会社全体を鼓舞するところにあります。

Q:OKRについて2点質問させてください。定性的な大きな目標を立てることになると思います。これは社員の皆様がワクワクするような目標設定ができることが非常に重要なように思いますが、①経営幹部はどのように目標設定を行うのでしょうか?従業員数が多くなりすぎると共感できる社員が少なくなる気がしており、②適切な従業員数などもお伺いしたいです。
松丘:OKRの最大のメリットとして、目標設定を個々人がバラバラに行うのではなく、関係者が議論しながら設定することがあげられます。特に最初にトップのOKRを設定する際には、事業部門を越えた上層部のワークショップや議論の場を何度も設けて、ゴール設定を行います。従業員数の多い企業の場合は、トップのOKRが決まった後、事業部門ごとに同様の場を開催します。OKR策定のプロセスを開始する以前に、自社では全体のOKRを何階層で設定するかの方針を決め、議論可能な人数単位になるようにコントロールします。従業員数が多くなれば、OKR設定の推進に労力がかかりますが、特に人数の上限はありません。

Q:360度FB・OKR・1on1など上手く運用するにはコミュニケーションを活性化させる行動変容が重要と認識していますが、特にマネジメントにおいてはどのように変化させることが重要と思われますか?
松丘:従業員の自律性を促すことを重視した行動への変化が必要と考えます。上から目標を与えて管理するのではなく、メンバーの主体的な目標設定とその達成を支援するマネジメント方法への転換が必要です。そのような行動変容を促進するために、360度評価にバリュー(行動指針)評価を含めたり、1on1研修で支援型のマネジメントを行うためのマインドとスキルを醸成したりすることが効果的です。


株式会社シーベース ウェブセミナー事務局

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