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【セミナーレポート 6月8日(火)実施 第3回】戦略的360度フィードバック実現の条件 ~米国の最新のハンドブックから学ぶ

【CBASE U 公開講座セミナーレポート】
半蔵門オフィス×株式会社シーベース共催
人事担当者が押さえるべき
戦略的360度フィードバック実現の条件
360度評価の「品質」を確保するために必要なこと

今回は6月8日実施の第3回「360度の「品質」を確保するために必要なこと」のセミナーレポートをお届けいたします。

半蔵門オフィス代表 南雲道朋氏と、株式会社シーベース 代表取締役 深井幹雄氏による公開講座「人事担当者が押さえるべき戦略的360度フィードバック実現の条件」第3回では、「360度評価の『品質』を確保するために必要なこと」についてディスカッションが行われました。今回の5回シリーズの講座では、米国の最新のハンドブック『Handbook of strategic 360 Feedback』(2019年版)をベースに、その内容の紹介および議論が行われています。

トピック1 評価品質確保のための体系的視点

南雲氏は始めに、評価品質確保のための体系的視点について述べました。アセスメントにおける評価の品質は妥当性と信頼性で判断されます。妥当性とは、目的に合った評価ができていることです。その設問でよい? その聞き方でよい? その進め方(プロセス)でよい? その人が評価するのでよい?ということです。妥当性では「関係者(誰にとって?)」「時間軸(どのスパンで見て?)」という視点で見られます。妥当性はその目的を達成できるかということですから、目的がはっきりしなければ妥当性も問えません。

妥当性では、360度を通じて何を実現したいのか、目的のコミュニケーションが大事になります。特に目的は設問に現れるので重要です。妥当性を時間軸で見る時、どこを見るかは下表のようになります。資料ではこの項目ごとに設計要素と推奨事項がまとめられています。

次は信頼性です。信頼性とは、同じ条件でもう一回評価をしたとき同じ結果になることです。「その結果は本当?」ということです。

信頼性は「プロセス」「設問/ツール」「評価者」の状況で見られます。この中で特に評価者は「目的を共有しているか」「評価する能力があるか」「正しく評価する動機があるか」「行動観察の機会があるか」が問われます。また、信頼性については、360度そのものへのアンケートも取ることも大事です。実施後すぐのアンケートでは、回答のみの人には回答後すぐに。対象者にはフィードバック後すぐに行います。また、ES(社員意識調査)への取り組みもアンケートを行うことが有効です。

深井氏は、「最終的に360度のループが回ることが大事。そのためには対象者(被評価者)に責任意識を持たせる。そのためにはファーストアクションの明確化させること、初回確認のタイミング・手法の明確化が大事になります。また、360度でうまく企業といかない企業の違いでは、回答者(評価者)への意識付けが重要になっています」と述べました。

トピック2 評価者選定~インストラクション~ 評価回答画面

南雲氏は、評価者選定は人事、上司、対象者など複数の目を入れることが望ましいと指摘します。360度の結果を人事意思決定に用いる場合には、人事による事前選定への要請が強くなります。これは客観性を確保したいということであり、ルールを基に選んでいきます。

手順としては、上位者について課内→部内で探索。次に下位者について課内→部内で探索。このルールをシステム化すると大規模実施がやりやすくなります。組織構造がはっきりしない場合には、プロジェクト組織や個別のネットワーク(メールの頻度やSlackのコミュニティから判断)から選定します。

また、評価者訓練やインストラクションを行い、手厚く標準的なアジェンダを押さえた指導を行うことも重要です。評価回答画面では、回答ストレスが極小で、一覧性が高く、自らの回答内容の振り返りが容易な回答画面を追求していきます。

深井氏は「人事や現場の手間と対象者の納得感のバランスを考えないといけません。ただ、システム的な設定ができるほうが現場は動かしやすい。最近はプロジェクト型の業務が増えており、組織図にない動き方をどう見るかがポイントです。また、回答環境について、PCがない場合どうするかなどを決めておく必要があります」と述べました。

トピック3 360度評価の信頼性の本質とは

次に南雲氏は、360度評価における信頼性の本質について解説しました。一般に、信頼性とは同一人物の評価結果が、評価者によってそれほどバラつかないことと言われます。しかし、360度では自己評価と他者評価が異なる、そして、評価者間の不一致が生じることは重要な情報です。その点では、ここにおける信頼性とは、評価者一人ひとりが、納得がいき、再度評価しても同じ評価になることといえます。

次に360度評価データの信頼性について考えるときは、まず回答の内訳に着目します。回答事実があったことの信頼性は非常に高い。そのためフィードバックではまず回答事実に向きあうことが重要です。そして、次は項目間の相対的な高低に着目します。相対評価の信頼性は高いので、フィードバックでは強み/弱みに向き合います。組織としても、一人ひとりの強み/弱みを把握するためにデータを用いるようにします。この強み/弱みの把握はジョブ型人事導入においても重要になります。また、項目間の相対比較では偏差値を活用するとなおよいといえます。

ここで南雲氏は、照らし合わせでの検証を勧めました。例えば、数値回答と自由記述回答をみる(裏付けとなる事実情報はないか)、過去からの傾向をみる(同じ傾向が現れているか?)、上司による評価と360度評価をみるといった検証が有効です。

最後に深井氏は、「自己評価と他者評価が一致していることは何を意味するか。一致する人は日頃からフィードバックを受けているから一致するわけです。この認識が対象者にも上司にも大事になります。また、回答者タイプの結果で組織がわかる面もあります。一般的に点数は『上司<同僚<部下』になります。上司が高くて、部下や同僚が低い組織は、上位者マネジメント不全組織といえます。部下や同僚回答が4.5点に近い組織は、忖度文化が蔓延した組織といえます」と述べました。

半蔵門オフィス 代表
南雲 道朋
東京大学法学部卒、日系大手電気通信メーカーのソフトウェア開発企画部門に勤務後、外資系コンサルティング会社にて現場再生のコンサルティングに従事。
1998年以降、マーサージャパン、HRアドバンテージ、トランストラクチャなどにおいて人事・組織に関するコンサルティングや関連するウェブソリューション開発をリード。その経験の総まとめのために、2018年に半蔵門オフィスを設立。
最新の著書に、『データ主導の人材開発・組織開発マニュアル』(経営書院)(2021/3)がある。情報処理学会会員。

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株式会社シーベース ウェブセミナー事務局

株式会社シーベースでは、HRテクノロジーを中心とした人材開発論・組織開発論を学びたい社会人向けの講座「CBASE U」や、360度評価をはじめとするサービス紹介のセミナーなど、様々な講座・企画を実施しております。


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