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【セミナーレポート 5月11日(火)実施 第1回】戦略的360度フィードバック実現の条件 ~米国の最新のハンドブックから学ぶ

【CBASE U 公開講座セミナーレポート】
半蔵門オフィス×株式会社シーベース共催
人事担当者が押さえるべき
戦略的360度フィードバック実現の条件
~360度の結果を「人事意思決定」に用いるために何が必要か

今回は5月11日実施の第1回「360度の結果を「人事意思決定」に用いるために何が必要か」のセミナーレポートをお届けいたします。

半蔵門オフィス代表 南雲道朋氏と、株式会社シーベース 代表取締役 深井幹雄氏が登壇し、始めに南雲氏が、2021年度の360度フィードバックの企画にあたり、客観的な検討・評価軸を持つうえで参考になる、米国の最新のハンドブックの三つのトピックについて紹介しました。

トピック1「戦略的360度フィードバック」とは

南雲氏は始めに「360度フィードバックはすでに完全に世の中に定着した手法といえます。そして、もはや育成目的のみのものではなく、その目的設定が重要になりつつあります」と語り、最新の戦略的360度フィードバックの特徴を次のように紹介しました。

・コンテンツ(設問)は組織の戦略と価値観から導き出されており、組織独自のものとなっている。

・結果を人材の意思決定に使用する信頼性・妥当性が確保できるように、プロセスが設計、実装されている。

・位置づけとしては「リーダーシップ開発」「パフォーマンス・マネジメント」「異動・ローテーション」「後継者計画」「ハイポテンシャル人材開発プロセス」といった、タレントマネジメントおよび開発(育成)プロセスと統合されている。特に「パフォーマンス・マネジメント」(評価を含む)に使用することが鍵となる。

・対象者は包括的であり、対象組織ユニットの全リーダーやマネジャーを対象としている。

次に360度フィードバックを、育成目的からパフォーマンス・マネジメント目的への移行した事例としてゼネラルミル社の例が紹介されました。事例での移行経路は「個人の開発」→「個人および組織の開発」→「開発と評価」→「パフォーマンス評価」となっており、ここで南雲氏と深井氏により、育成から評価に移行していく際にどのような手順で移行すべきかが議論されました。ここでは、育成か評価かという二元論ではなく、結果の共有の仕方やその範囲を、「本人のみ」→「行動計画のみ共有」→「レポートを共有」→「データを組織で活用」と徐々に広げることが重要という結論が得られました。

トピック2 「人事評価」に360度の結果を用いてよい条件

次に南雲氏はハンドブックにある、360度の結果をパフォーマンス・マネジメントに用いる際の昔からある問いへの回答について、次のように解説しました。

問1 360フィードバックは評価のためか、育成のためか?

評価か育成かという二分法で考えることには意味がない。360度フィードバックの結果をどの範囲で共有するか、ということに尽きる。

問2 評価者はいかに選定されるべきか?

理想的なルールを決めても、部下が1名しかいないなど必ず例外が出てくる。誰が選んでも意図やバイアスが入り込んでしまうため、ルール・原則を明確にしたうえで、複数の目を入れて協力して選ぶべき。

問3 評価者は、能力とモチベーションを持つのか?

やはり限界がある。対象者にはフィードバックデータを誰が見ることができ、どのように使用されるかを正確に伝えたうえで、対象者が「このデータは不正確だ、偏っている」と感じたら、異議を唱える機会を与えるべき。

問4 公正で偏りのない結果の解釈を上司に期待できるか?

バイアスが入り込む可能性はある。そのため、対象者本人と上司で話し合う機会や、上司のその上の上司が目を通す機会を設けることで、視点を多重化することが重要。

問5 評価者に過度の負荷をかけることなく回答を集められるか?

評価者の負担には理想とのバランスを保ちながら配慮することに尽きる。

ここで深井氏より「360度を使って、フィードバック・カルチャーをつくる際の効果的な手法」についての質問があり、南雲氏は「トップ自らが『社内を自由にモノが言える風土にする』とメッセージを出し、各々が下の人たちからのフィードバックを受けることが重要」と回答しました。

トピック3 「人事評価」をめぐる最新のトレンドやHRテックとの関係

南雲氏は、人事評価をめぐる最新のトレンドについて、「『職務の期待を合わせる』『人材開発の対話を続ける』『人材に関する意思決定をする』というパフォーマンス・マネジメントの3要素に対し、360度評価が果たしうる役割を明確にし、それを達成するために文化面・プロセス面における必要条件を整える必要がある」と指摘。

次に参加者からの「人材開発の良い事例を教えてほしい」という質問に対して、深井氏は「よくある失敗例として『フィードバックしっぱなしになる』ことがある。それを避けるために、行動改善の明確化やそのフォローアップの仕方など、事後のプロセスを一緒に設計させてもらうようにしている」、南雲氏からは「結果を部下に公表し、結果をもとに共に話し合うことが重要」との回答がありました。

最後に深井氏が「360度の結果を人事意思決定に用いるために何が必要か」という議題に対し、「360度フィードバックの最新の研究内容を理解し、組織目的の達成に効果的に活用するヒントを得ることが重要になる」と述べて、第1回のセミナーは終了しました。

半蔵門オフィス 代表
南雲 道朋
東京大学法学部卒、日系大手電気通信メーカーのソフトウェア開発企画部門に勤務後、外資系コンサルティング会社にて現場再生のコンサルティングに従事。
1998年以降、マーサージャパン、HRアドバンテージ、トランストラクチャなどにおいて人事・組織に関するコンサルティングや関連するウェブソリューション開発をリード。その経験の総まとめのために、2018年に半蔵門オフィスを設立。
最新の著書に、『データ主導の人材開発・組織開発マニュアル』(経営書院)(2021/3)がある。情報処理学会会員。

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株式会社シーベースでは、HRテクノロジーを中心とした人材開発論・組織開発論を学びたい社会人向けの講座「CBASE U」や、360度評価をはじめとするサービス紹介のセミナーなど、様々な講座・企画を実施しております。


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